スペシャルイベント開幕戦となったRoar。混乱のレースの中、16時枠で2位フィニッシュ。
1月13日の16時と21時に行われた「iRacing Presented the iRacing Roar」にBMW M4 GT4で出場した。
舞台はデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ。
1週間後にデイトナ24時間レースを控えた中で開催されたこのレースはLMP3クラス・GT4クラス・TCRクラスの速さが異なる3クラスの車両が同時に出走する混走レースとなっている。
今回のイベントは通常のSPイベントのようなチームレースではなく個人出走のレースとなっているためPista × HiMA RACiNGからはしーなありさが16時枠と21時枠の2レースを戦った。
レース1 : 予選 3位/決勝 2位
日本時間16時から始まったレース1は気温21℃、路面温度26℃と日本の1月とは違い春のようなコンディションで始まった。
予選は2ラップのアタックだけが許されるiRacingでは通常の予選形式で行われた。
アウトラップで十分にタイヤに熱を入れファーストアタックへ。最初のアタックは1:52.658でトップタイムを記録する。この調子で2ラップに向かい前半セクションでは1ラップ目の修正が上手くいきコンマ2秒詰めていたが、7コーナーとバックストレート上にあるル・マン・シケインでミス。このミスが響き1:52.647とタイムは伸びず決勝を3番手から迎えることとなった。
迎えた決勝は波乱のスタートとなった。
決勝は2列の隊列を組んでスタートするローリングスタート形式に従って進行していた。グリーンフラッグが降られると同時に全車加速を始めるのだが、予選1位の車両の加速が大きく遅れてしまった。その真後ろに居たPista × HiMA RACiNGを始め、奇数列の車両が加速できず順位を落としてしまったのだ。
このスタートで動揺してしまったのかその後のル・マン・シケインでショートカットペナルティを受けてしまいさらに順位を下げてしまう。1周目が終わる頃には順位は11番手まで後退。幸先の悪い始まりとなってしまったが、レースペースはコース上でトップ以上のペースと安定感を持っていた為徐々に順位を戻していき1回目のピット前には元の3位まで戻ることに成功した。
30周目にピットへ向かいタイヤ交換と給油を行って4番手でコースへ戻ったPista × HiMA RACiNG。ピットアウト直後から14号車AMG GT4との3番手争いが勃発。差は1秒以内でのバトルとなったが混走レースの性質上思うように差は縮まらない。差を詰めたと思えばLMP3クラスに前を行かれたり、TCRクラスに詰まって差が開いたりを繰り返す展開に。
そんな状況が続く中迎えた33周目。ル・マン・シケインの立ち上がりで14号車を捕らえスリップを使い34周目の左に曲がる1コーナーでブレーキング勝負に出る。Pista × HiMA RACiNGはイン側にマシンをねじ込みサイド・バイ・サイドで1コーナーを抜けていきその状態のまま3コーナーへ。しかし3コーナーは右に曲がるためマシンはアウト側に。ここでは前に出ることはできなかった。
14号車AMG GT4とPista × HiMA RACiNGのペースはほぼ互角だった。このまま争っていてもタイムを失ってしまいトップとの差が開くだけと判断し、1度勝負を預け2台でペースを上げていく作戦へと変更した。
この作戦変更は上手く機能しトップと5秒ほどあった差を徐々に詰めていき、周回数が40周を超えたときにはトップと4秒差に。
ただここにきてPista × HiMA RACiNGのペースが14号車AMG GT4を上回り始めた。このまま後ろを走っていては引っ掛かるだけと状況を読み、他クラスの車両をやり過ごしながら14号車AMG GT4に対してプレッシャーを与えていく。
そして迎えた49周目に先ほどと同じ1コーナーで勝負に出る。33周目とは違いPista × HiMA RACiNGがアウト側から仕掛ける。だがやはり1コーナーでは抜き切れずバトルは両車並んだまま3コーナーへ。ここでは14号車AMG GT4がアウト側、Pista × HiMA RACiNGがイン側に居る状態でコーナーへと進入しオーバーテイクに成功する。これでPista × HiMA RACiNGが3位へと躍り出た。
このまま前を追っていきたいPista × HiMA RACiNGだったがここでアクシデントが発生する。
51周目の3コーナーでLMP3クラスの車両が止まり切れずに追突。幸いダメージはなくすぐにレースへと復帰は出来たものの再び4番手に戻されトップとのギャップも広がり厳しい展開となってしまった。
ピットストップが近づいてきた57周目に2位を走っていた10号車570S GT4が先にピットに入ったことによって3番手へと戻ったPista × HiMA RACiNGは前を行く14号車AMG GT4をハイペースで追い上げその差を詰めていき、一時3.5秒まで開いていた差を2.3秒差まで縮め相手を追い上げていく。
だが60周目に14号車AMG GT4に先んじてピットイン。レースペースで有利な状況を踏まえてアンダーカットを狙ってのピット判断となった。
このピットでPista × HiMA RACiNGはタイヤは無交換で給油だけを済ませて最後のピットを後にした。
ピットアウトした位置は先ほど57周目にピットを済ませていた10号車570S GT4の後方約4秒のところに戻った。
そしてバトルをしていた14号車AMG GT4は61周目にピットイン。その時Pista × HiMA RACiNGはインフィールドを抜けてオーバル区間に入ったところだった。マシンをプッシュしていく中で他クラスの車両に詰まることがなかったこともありアンダーカットに成功する。ピット出口での2台の差はコンマ7秒とその差は非常に少なかったがペースの良さをしっかりと発揮することができた。
1番手と2番手が62周目にピットに入ったことによって2番手を走っていた9号車AMG GT4が後退。これで3番手となったPista × HiMA RACiNGだが、10号車570S GT4と14号車AMG GT4の2台との争いは2番手を巡った戦いへ。Pista × HiMA RACiNGはピットアウト直後の14号車AMG GT4の激しい猛攻を凌ぎながら4秒前を行く10号車570S GT4を追っていかなければならない難しい展開を強いられていた。
展開が変わらないままレースは65周目、残り20分になった。
それまでは14号車AMG GT4がコンマ5秒以内からこちらに対してプレッシャーをかけるアグレッシブな走りを続けていたが、残り時間から来る焦りからかミスが目立ち始めた。さらに前を行く10号車570S GT4との差が急激に縮まった。それまで3.5秒差を維持していたのだが66周目に入ったときにその差が2.6秒まで詰まったのだ。
続く67周目には10号車570S GT4との差は1.5秒以内となりスリップ圏内に入った。後ろの14号車AMG GT4との差も約1秒まで広がり俄然優位に立つこととなったPista × HiMA RACiNGはマシンに鞭を入れさらにプッシュを続ける。
ペースが上がらなくなった10号車570S GT4を攻めたて69周目にはPista × HiMA RACiNGは相手の真後ろコンマ4秒まで詰める。
そしてこの周のル・マン・シケインを脱出重視のラインでクリア。スリップとM4 GT4のパワーを生かしホームストレートで抜き切ることに成功し、続く1コーナーで10号車570S GT4を抑え2番手に順位を上げる。
前に出た後は衰えないレースペースと他クラスの車両を上手く間に挟んで逃げの体制に入る。しかし相手もペースを戻して一歩も譲らない。
1つのミスも許されない状況でPista × HiMA RACiNGは後ろからのプレッシャーに打ち勝ち見事に2位でフィニッシュを迎えた。
レース2 : 予選 7位/決勝 12位
レース2は日本時間21時から始まった。コースコンディションは気温19℃、路面温度27℃。
16時枠と比べて気温が低いためマシンが力強く前に進むのでより慎重なアクセルワークが求められる状況。フリー走行でコンディションチェックを行いドライビングをアジャストして予選に向かう。
アウトラップでタイヤに熱を入れアタックラップへ。1周目は大きなミスもなく纏めきり1:52.323。レース1よりも良いタイムを記録することが出来たが周りのレベルが高くなったこともあって4番手に収まる。続く2周目はタイムを伸ばすことが出来ず1:52.462で7番手に後退し予選を終えた。
先ほどのレース1とは違いレース2では大きな波乱もなく平和なスタートが切られた。
Pista × HiMA RACiNGはスタート後の3コーナーで1台オーバーテイクし6番手にポジションを上げて1周目を終える。トップ集団の最後尾でレースを展開する幸先のいいスタートとなった。
しかし2周目のル・マン・シケイン出口で前を走行していた11号車570S GT4が単独スピン。その直後を走っていた3号車Vantage GT4とPista × HiMA RACiNGがこのあおりを受ける。幸い2台とも目の前で起こった出来事にもかかわらず無事に避けきることが出来た。しかしこのアクシデントの影響を受けなかった後方を走る6号車Cayman GT4 Clubsport MRと1号車AMG GT4が襲い掛かる。
脱出速度を失った3号車Vantage GT4とPista × HiMA RACiNGがイン側、後方の2台がアウト側に並んだ状態で1コーナーに進入した。6号車Cayman GT4 Clubsport MRの先行を許したが1号車AMG GT4は抑えたため順位は変わらず6番手。この一連の出来事でトップ3台の集団とそれ以下の集団へと隊列は分断された。
その後周回を重ねる毎に4番手争いをする4台とそれ以下の集団にも差が開き始めPista × HiMA RACiNG含む前4台での争いが激化。
6周目の1コーナーで6号車Cayman GT4 Clubsport MRが3号車Vantage GT4をパス。それに乗じて3コーナーでPista × HiMA RACiNGも3号車Vantage GT4のインを伺うがここでは抜き切れなかった。しかし7周目の1コーナーでアウト側からマシンを並べブレーキング勝負で抜き切り5番手にポジションアップした。
5番手に順位を上げてからは前を行く6号車Cayman GT4 Clubsport MRの後ろを付いていきながらトップ集団との差を縮めるために走行を続ける。
膠着状態が続いた11周目にLMP3クラスがGT4クラスの集団に追いついて隊列が少し崩れ各車の差が広がった。
その状況の中迎えた12周目。1コーナーでLMP3クラスの車両が6号車Cayman GT4 Clubsport MRのイン側に入っていったことで隙が生まれた。さらに続く3コーナーでもLMP3クラスがイン側にマシンを並べたのを見逃さずこれにPista × HiMA RACiNGが便乗し前に出ることに成功し4番手へと順位を上げた。
しかし13周目にアクシデントが発生する。
4位争いの先頭を走っていたPista × HiMA RACiNGが先ほど抜いた6号車Cayma GT4 Clubsport MRに6コーナーで追突されてしまう。これによりPista × HiMA RACiNGはスピンをしてコース上でストップしてしまう。そして後続を走っていたLMP3車両がこれを避けきれずマシン側面に追突。
このアクシデントによりPista × HiMA RACiNGは右フロントに致命的なダメージを負ってしまう。修復のためマシンはピットに運ばれたが、15分以上の修復作業により戦線離脱。何とか完走までマシンを運ぶことは出来たがレースは12位で終えることになり、レース2は悔しい結果に終わった。
しーなありさ
今回のRoarではレース1とレース2で天国と地獄を見る結果となりました。
レース1も結果としては良かったと思います。昨年から成長した部分やPista × HiMA RACiNGの持ち味は変わらずレースに強いところが魅せられたものになりました。一方で優勝を狙える強いレースペースが活かせず今回のレースも内容は良くありませんでした。ここは自分弱さが改めて露呈した結果と受け止めています。
レース2もクラッシュが起きるまでは悪い流れではなかったと思います。
ただ上手くいかなかった。ペースは相変わらず良かったと思いますし、遅かったわけではないと感じています。だからこそこのような結果で終わったことが悔しいです。
次に向けての弱いところがハッキリしたことを前向きに捉えて次のレースでより強いレースが出来ればと思います。
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