Shanghai HiMA RACiNG(以下SHR)は、8月18日から19日に「iRacing Endurance Le Mans Series(以下iELMS)」の1戦として行われた「2018 Season 3 iELMS Week 5 LeMans 24 Hours」に出場。決勝353周を走り切り、総合24位でレースを終えた。
初回のプロジェクトであったスパ24時間耐久レースから約1か月。SHRはスパの時より大きなチームになってサーキットに帰ってきた。
今回は「Shanghai Tamon Racing(以下STR)」「Project_P R@cing(以下PPR)」「HiMA RACiNG KiWAMi(以下HRK)」の3チームに加え、「Dream Spirits Racing(以下DSR)」が加わりチーム規模は過去最大のものとなった。
STRから2名、PPRから2名、DSRから2名、そしてHRKから3名の計9名で「Porsche 911 RSR」1台をシェアする、スパの時と同じ参戦形式で24時間のレースへと挑むこととなった。
レースは予選3番手からのスタート。今回はSplits11でGTEクラスのみのレースとなった。最初にマシンに乗り込むのはDSRのりょーと。スタートドライバーは今回が初めてのりょーと。マシンにダメージを与えないように、次のドライバーにバトンを繋げられるようにスタートし、安全に周回を重ねていく。大きなプレッシャーを感じ続けながらの走行となり、ミスも何度かあったがマシンにダメージはなく、無事2スティントを走り切り、次のドライバーにバトンを渡した。
その後しばらくは大きなトラブルもなく、順調な滑り出しにチームも一安心といったときに、ルマンはSHRに牙をむき始めた。
それはIcemanのスティント時に起こった。
前回と同じ電気系トラブルが発生、ピットに戻ることとなったのだ。
原因は未だはっきりとしないが、一部デバイスが上手く機能していない可能性があるとして現在でも解明に向けて作業を進めているという。これにより後退を余儀なくされることとなった。
しかしマシンにダメージはなく、後に続くドライバーが失った順位を取り戻すためにプッシュしていく展開となった。
だが、ここから更なるトラブルやアクシデントがSHRを襲う。
パインPが走行しているときにオーバーテイク直後のマシンが止まり切れずに追突。このアクシデントによりマシンに初めて大きなダメージが入ってしまった。この追突によりマシンはストレートスピードが少し落ちてしまい、リアが少しナーバスな状態になりプッシュを続けるには少々厳しい状況となってしまった。
パインPの次にバトンを受け取ったしーなありさも順位争い中にコーナーでフォードとの接触や単独スピンでタイムを失うなど、レース展開としても良い流れに乗れない時間を過ごしていた。
しかしその状況でもできる限りのプッシュを続け、パインP、くろかわ、ハンバーグ、しーなの懸命の走りで、一時は34位まで落ちてしまった順位を17位まで取り戻すことに成功。これで流れを引き寄せ、このまま順位を上げていくかと思われた矢先、またしても悪魔が嗤うかのようにチームにアクシデントをもたらす。
レースが15時間を経過した時にクラッシュの一報が届いた。テルトル・ルージュ前のS字区間でマシンがバランスを崩しそのまま壁に激突。このクラッシュによりマシンは大きく破損、操舵系にも影響が出てしまい修復のためにガレージに戻ることとなった。
約20分のリペアを終え、コースに復帰したときには27位と追い上げる前と同じ状況になっていた。
マシンもダメージの影響が完全に消えたわけではなく、舵角少し右に傾きハンドルをまっすぐに持つことが出来ない状態となっていた。大きく曲がっているわけではなかったが、少しのズレでも、それが致命的になるのがモータースポーツというものだ。ドライバーたちはダメージの影響に対応しながらマシンを走らせることとなった。
そしてこの時間になると周りのチームにもトラブル、アクシデントが目立つようになってきていた。
トップを走っていたチームや自分たちの前にいたチームなどもルマンの魔物の手により順位を落とすことを強いられ、時折ミスやスピンをする車両を見かけるようになったりと、サーキット上にいるドライバーやチームにも疲労が見え始めるようになった。
SHRにもその様子が見られたが、自分たちを襲っていた魔物に助けられる形で順位を上げるチャンスを与えられる、まるでルマンの魔物の手のひらで転がされているような複雑な心境であった。
しかし与えられたチャンスは生かさなければならない。1つでも上のポジションを目指して、クルガヤがライバル相手にオーバーテイクショーを見せ、順位を3つ上げ24位にポジションを戻した。
その間もSHRはマイナーなトラブルを抱えることとなったが、問題に上手く対処を行い、ポジションを落とすことなく走行を続けた。
その後はクラッシュを起こさぬように、アクシデントに巻き込まれないように、確実に完走するために走り続け、最後はクルガヤがステアリングを握り、チェッカーフラッグを受け完走を果たした。
様々な問題が発生し、前回スパよりも厳しいレース展開となったルマン24時間耐久レースであったが、途中で諦めることなく、クラッシュやアクシデントが発生しても「必ず完走する」という目標にチーム一丸となって向かって行けたことは勝利にも匹敵するくらい価値のあるものとなったのではないだろうか。やりきれなかった悔しい思いや、ミスやクラッシュに対する苛立ちはあるかもしれないが、その気持ちは次に「繋ぐ」ことが出来る。今回出来なかったことは次のレースで出来るようになればいい。そうして強くなっていけばいいのだと思う。今回のレースでの経験が次に、そしてこれからのレースなどに「繋がる」ことを信じて。
ドライバーズコメント
Shanghai Tamon Racing
クルガヤ
「スパ24時間から、約一か月またル・マン24時間耐久レースに参加できて嬉しかったよ。自分のスティントは、最後の方だったので出番が来るまで他のドライバーのサポートをしたよ。人生初のりょーと氏のスタートは順調にスタートして安心したよ。寝てる間にいろいろあったみたいで、ストレートスピードが少し遅くなりましたがなんとか自分の番になりました。スパみたいにまた追い上げを見せることができて楽しかったよ。さらに俺も初の最終スティットドライバーになり最後で少しミスがあったけど24位でゴールする事が出来ました。また来年もチャレンジしたいね(^◇^)最後にりょーと氏とハンバーグ氏とPPRチームとHRKチームの皆さんありがとうございました。」
めだっち
「今回チーム自体が2クラスに参戦することになり、また時間帯も朝スタートの部、夜スタートの部と別れ、マネジメント側は大変な作業量になったとは思うが、両チームが完走を果たせてよかった。私の担当であるGTEのなかの2スティントのうち、初めの方はPCのトラブルでしっかりと仕事ができず残念だったが、2スティント目は無事こなせて嬉しく感じている。今年の大きな耐久イベントはほとんど終わってしまい、少しばかり寂しい気分にもなるが、来年に向けてまた色々と活動できたら楽しいと思える機会になった。
兎にも角にも感謝感謝です。」
Project_P R@cing
パインP
「ここまで大きなチームになってルマン24時間に出場できたことを誇りに思う。今回はまだ耐久2戦の経験しかない自分がかなり長い周回数を任せられたレースだった。ただその中で追い上げのムードに引っ張られヒートアップしてしまい、今まで練習でも起こしていなかったようなミスによるクラッシュを引き起こしてしまったことには反省しかない。今はとにかくプチルマンや18年Season4といった次を見据えてやるしかないと思っているよ。そしてまたこのチームに進化して帰ってきたい。」
くろかわ
「今回、Shanghai HiMA RACiNGの一員としてル・マン24時間を戦えたことを嬉しく思うよ。受け入れてくれたチームの皆と、話を持って来てくれた代表に感謝したい。初の24時間耐久だったが、準備期間からレース終了まで、とても楽しい時間を過ごすことが出来たんだ。
レースでは、ステアリング系のトラブルやハーフスピンがあり、チームに迷惑をかけてしまって申し訳なかった。しかし、インシデントを少なくしつつマシンを無事に持ち帰ることが出来て良かったよ。ただ、レースペースが皆に比べて遅いのは明白だったから、もっと修業が必要だね。またチームに加わるチャンスがあれば、スピードを高めた走りを見せられるようにしたい。」
Dream Spirits Racing
ハンバーグ
「まずは、直前にチームへ迎え入れてくれたことへこの場を借りて深く感謝します。まず、セットに関しては9人でシェアのため苦労しました。車側からではなくドライバー側の方から合わせたりと少し申し訳なさも残ってます。実力不足ですね。レースは色々とありましたが無事完走できて本当に良かったと思います。僕を除く8名に感謝です。もしも僕がまたこのチームで走るときはまたこの雰囲気で楽しめればと思います。」
りょーと
「今回のルマン24hは特別なものになった。自身初の耐久レーススタートドライバーを任されて、絶対にマシンにダメージを与えて次の走者にバトンをつなぐ訳には行かなかったし、 今回の自分の出番は開幕2スティントのみというのもあり、いつもの数倍のプレッシャーを感じながら3番手からレースをスタートしたけど、周りが速すぎて抜かれる一方だったし、 自分のミスも重なってしまい大分順位を落としてしまいました。だけど、最初に言った絶対にマシンにダメージを与えずに次のドライバーにバトンタッチするという役目は無事に果たせたし、 開幕2スティントでまったくのノーダメージでバトンを渡せたという面だけで見れば十分にスタートドライバーとしての役目は果たせたのではないかと思っています。次回またこのような機会が あれば、この経験を糧に、次回は今回より速くそしてクラッシュせずに走りきれるようにしたいと思います。」
HiMA RACiNG KiWAMi
Iceman
「前回Spa 24hの伝手は踏むまいと挑んだDuMan 24hであったが、またしても異次元ワープしてしまい、チーム・チームメンバーには迷惑を掛ける結果となってしまい、非常に申し訳無く思っている。そんな中、車を無傷で次のドライバーに渡せた点はラッキーだった。
また、ゴールまで無事車を走らせてくれたチームメンバーには、心から感謝を述べたい。
次回、もしまた乗れるチャンスがあるのであれば、なんとか状況を打開し、是が非でもチームに貢献したいと思っている。
ありがとう!」
Nyajigon
「Shanghai HIMA RACHING から2回目の参加となたったLeman 24h 前回のSPAよりスピードUPし臨むつもりだったが、なんと今回はinc100制限というではないか。 スタートから3スティント目で出走の私はとにかくinc0を目標に切り替えバトンを受け取りました。 1スティントを無事に0で切りぬけ次走のiceman氏へつないだらiceman氏が数周で緊急ピットイン。回線トラブルのため急遽私がドライブすることとなった。緊急のためガス補給タイヤ交換無し。じつはこれがなかなか難しかった。徐々にタレていくタイヤには自然に順応するが、いきなりの中古タイヤは未経験。これに慣れるまで数周かかりクルマをわずかにウオールにヒットさせてしまった。幸い大きなダメージは無かったが序盤にキズつけてしまったのは大反省。次回参戦する際はもう1ランクUPの自分をお見せできるようにしたいと思います。 ともあれ無事に完走できたのはなにより。次回こそ!全員で上位を目指しましょう!」
しーなありさ
「ルマンは前回とは違う、GTEクラスをまとめる立場での参戦となった。走ることには少しのプレッシャーを感じたけど、それよりもチームをまとめることに大きなプレッシャーを感じる24時間となった。実際何度か緊急で対処しなければならないことがあったし、その決断を下さなければならない位置に立つのは非常に難しいものだった。でもチームのみんなの協力もあって上手く回すことが出来たと思っている。チームのみんなには感謝している。ドライバーとしての自分は普段よりも落ち着いてドライブすることが出来たと感じている。だが他車との接触や、単独スピンなどの大きなミスがあった。まだまだ足りない部分があることを改めて実感したし、その部分はとても悔しく思う。今回のミスを次回に向けての改善へと繋げられるように見直していきたいね。」
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